運弓と音色

 弦と弓毛の状態が一定とした場合、初級者レベルの音色は次の運弓の三つのファクター+αに影響されます。
  
  ①弦を押す弓の圧力
  ②運弓の速度(及び動きの滑らかさ)
  ③弓毛と弦の角度、弓の直進性
  ④弦を押す左手指の圧力

 この中で、③の弓の角度や直進性は注意すれば大体一定に保てそうです(曲を弾きだすと、ついつい右手への注意はおろそかにになりますが・・・)。
 ④の弦を押す左手指の圧力はどうでしょうか?極端に力をかければ弦のテンションが上がって音程が高くなるし、逆に軽く触れる程度だと指と駒、指と千金の両サイドで弦が振動(ハーモニクス)して別の音が出てしまいます。ですが、普通の力の入れ方なら少々、力が少々変わってもあまり影響ないようです。
 
 厄介なのは①②(圧力と速度)ですね。またまた閑な二胡雑考をしようと思います。軽く読み流して下さい。

 話を単純化するため、弓の速度はできるだけ一定にして、力だけをいろいろ変えた音階練習をしてみます。外弦と内弦でも少し様子が違うので、外弦について観察してみます。
 弓の力(加える圧力)が小さい場合は、開放弦AからBCDE(G調でいえばレミファソラ)と音程が高くなるにつれて、音がかすれてきます(松脂が少ないとこの様子が分かりやすい)。
 
 難しい理論は分かりませんが、弦楽器では、例えば二胡の開放弦なら千金と駒の間の音程が常に2オクターブだそうです。千金の位置に関係ありません。そして千金と駒の半分の位置で1オクターブになります。指で弦を押した場合は、指が千金の役目を果たします。ですから高音域になるに従って、音と音との間は縮まってきます。高音になるほど弦の振動数(Hz:ヘルツ)は大きくなり、開放弦で440Hz(一秒間に440回振動)の音に合わせていますが1オクターブ上がると振動数は倍の880回になります。
 
 余談ですがNHKの時報の音(ポポポ ポ~ン)のポの音が440Hzで、後のポ~ンの音が880Hzだそうです。以前、中国に住んでいたころ、電話で時報の音を聴いて二胡を調弦している人をみかけました。
 
 話を戻して、高音になるほど、弦の振動数があがり、弦を擦る力も大きくしていかないと十分な振幅(音量)が得られないようです。
 二胡の上級者は無意識のうちにこの力加減をコントロールしているのでしょうが、初級者はどうしたらいいのでしょうか?低音と高音で力加減を変えるような芸当はできません。無理に力を入れれば雑音まで引き出してしまうし・・・。
 やはり訓練で身体でコツを掴むしかないのでしょうか?
 
 事情は少し違いますが、駒に挟み込む弱音器をつけると、駒が重くなり振動の強度(振幅)が小さくなります(なお振動数は変わりません。振動数が変われば即、音程が変わってきます)。
 理屈は分かりませんが、結果的には少ない力で、とりあえず音が出せます。弦の振幅が小さいので、弓がはじかれずに弦をこするからかもしれません。ただ、これに慣れてしまうと、弱音器を外すと力が弱すぎるのか、音がかすれ気味になります。
 弱音器の有り無しで最適な力加減が違っているようで、外せばまた一から出直しです(左手の練習にはなりますが)。
 また弱音器をつけると二胡が弱音器仕様に変わってしまうとの話も聞きますが二胡が変わるのではなく、腕の力加減の感覚が変わるからのような気がします。

 前の記事でもふれましたが、いい音はリラックスした滑らかな運弓から引き出されます。余分(不自然)な力がかかっているといい音はでません。高音域を少ない力で音(振動)を引き出すには、いい弓を使い、良質な松脂を均一にすり込み、摩擦係数を上げる必要があります。 そうした弓で今までどおりに弾くと、大きな音が出すぎて雑音も耳につくかもしれませんが、音を聴きながら力加減をコントロールする訓練していけば、いい方向に向かうのでは・・・。

 以上、えらそうなことを書いていますが、実は既に腕が硬い凡爺には一向に進歩が見られず、相変わらずの初級者を続けています。まあ講釈も楽しみのうちでしょうか・・・。

                                         凡爺
 

この記事へのコメント

kaze凪
2007年05月11日 22:51
はじめまして。
つい最近、こちらを発見して、以来ちょくちょくお邪魔をしております。私は独学で二胡を練習していますので、薀蓄にとんだ記事はとても勉強になっています。

最近疑問に思ってるのが、抑制綿の役割です。雑音を減らすのに必須ですが、なぜ、そこから雑音が発生するのか、よくわかりません。なにかご存知でしょうか。
これからも遊びに来ますので、いろいろと教えてください。
凡爺
2007年05月12日 11:15
kaze凪さん。サイト訪問ありがとうございます。
控制綿ですか!私もよくは知りませんが必須のパーツですね。
弱音器と違いプロも使っているし、副駒とよばれるくらいですから。
控制綿は駒の後ろにつけるので弦の振動には直接的な作用はないと思いますが弦と蛇皮との共鳴を抑えるらしいですね。一口でいえば蛇皮の響き止め(振動吸収材)でしょうが、いずれ調べて何かわかれば本ブログに載せようと思っています。

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