二胡の弓についての雑考

 きれいな音色の7割がたは弓(毛の状態と運弓)で決まると、どこかで聞きました。二胡本体の材質や弦、駒などよりも弓の影響が大きいそうです。たしかに松脂のつけ方一つでも、不足なら滑って音がかすれるし、多すぎれば雑音を引き出してしまいます。また同じ二胡でも上級者ならいい音がでるのも弓の使い方といったように、初級者にとって弓の問題はついてまわります。

  弓の使い方は練習で会得するしかないでしょうが、弓そのものはどうでしょうか?なにか“タナボタ”式、改善法はないものかと雑考してみました。

  弓毛には馬の尾が使われています。毛の表面は、弦を擦って振動を引き出すので、ざらざらした粗いものを想像していました。またシャンプーのコマーシャルなどで見る、キューティクルがささくれ立った毛髪の画像から、弓毛もあの様かと勝手に連想していました。
 
 ですが、実際に(物好きにも)マイクロスコープで弓毛を50~100倍に拡大してみると、予想に反してかなり平滑です。そして半透明の毛の表面の所々に、微粒~糊状の松脂が付着しています。一本の毛でも場所によって異なっています。透明度の高い部分は指先でふれると滑りやすのが判ります。(イラストは拡大した毛のスケッチ)
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 あくまでも素人の雑考ですが、弦の振動は微粒状(0.01mm以下)の松脂粒子の毛表面への付着具合がポイントではないでしょうか。つまり毛と松脂粒子がうまく一体になった弓は、うまく弦にまとわりついて、弓に力を入れなくても弦が振動するような感じがします。
 細かく且つ、均一な無数のザラザラ状態が、無数の均一な音(いい音)を出し続けるのです。

  また弦の、弓で擦られる部分は磨耗して、つるつるの金属になっているのかといえば、そうではなく拡大してみると弦の表面は毛の表面よりも粗いほどで、ここにも松脂粒子がたくさん付着しています。(多分、弓から常に補給されてくるからと思われます。弦も松脂が着かず、つるつるの表面になれば交換の時期でしょうか?そこまで使い込んでいないので分かりませんが…)
  なお弦の上部にまで松脂がつくと押弦の指も滑らず、スムーズな換把(ポジション移動)もできません。

  話を毛に戻して、馬の尾も当然ながら先の方より根元の方が新しく、荒れていません。そこで弓を作るときは毛(200本ほど)の半々を互い違いに並べて、全体が出来るだけ均一になるように毛を張るそうです。安物の弓はこの均一性が期待できないのでしょうね。

  毛の表面は平滑といっても合成繊維のようにつるつるではありません。一本の毛でも部分、部分で違いがあり、毛を束にすることで均一化が図られるのでしょう。
毛が劣化して表面が荒れてくると湿度の影響も、より受けやすくなります(もともと馬の毛は5~35%も水分を吸い、伸びちじみするので毛髪湿度計として使われるほどです)。
 
  練習量にもよりますが、初級者レベルなら1年に1度くらいの頻度で張り替える(買い替え)のがいいそうです(プロは年に数回も替えるそうですが)。手の脂、タバコのやに、などの脂分が付いた毛はシャンプーで脱脂したら良さそうですが、経験がないので効果のほどは知りません!(その内に試して結果をブログに載せます)

  いい弓(の状態)とは毛の太さや表面の状態(キューティクル)が全体的にそろっていて、松脂粒子が均一に着くもの。いい松脂とは粘着性が適度であり、ぬったときに微粒子状に広がるものといった感じでしょうか?
 一言でいえば、いい弓とは、松脂が均一に多くつき、且つその状態が長持ちする弓だそうです。

  結論として、弓はいいものを使う。松脂も同様。そして松脂は毛全体に均一に、少し多い目にぬる。それで大きな摩擦係数がえられ、結果的に少ない力の入れ方で音が出るようになります。松脂が少ないと、音がよく出ないのでつい力が入り過ぎ、雑音までひろってしまいます。いかに少ない力で適正な音を引っ張り出すかがポイントのようです。(上級者はさらに、毛の張りをゆるゆるにして弦の摩擦面を大きくしています)。     
少ない力なら、手首がリラックスしていい音が引き出せるといった好循環が生まれてきます。

 はたしてそんなにいい調子にいきますか?決め手はやはり練習でしょうね…。

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